「夢か……今まで白鳥君としゃべっていたと思ったが、やはり夢だったか……白鳥君、君はもう戻ってこないのか……君がいなければ、いくら【創作論・評論】ランキング一位になったところで、うれしくもなんともない。私はいつしか君に惹かれていたみたいだ。君のエロさにではなく、君の内面から溢れ出る美しさに――まさに、あの作品を思い出す……エロスの本当の姿を描いたあの作品を……」
「博士……」
「し、白鳥君じゃないか! どうして……君はもう戻ってこないものと諦めていたのに」
「心配かけてごめんなさい……わたし、あれから少し冷静になって博士のこと考えてみたんです。そしたら、私って博士と一緒に働こうとしているくせに、博士のこと何にも知らないんだって気づいたんです――だから、博士のことをよく知るぶんちくさんに会いに行ってきたんです。ぶんちくさんは話してくれました、博士がなぜこんな研究を始めたのかを。そして、そこには深い悲しみがあったってことを」
「ぶんちくの奴がそんなことを……」
「博士はかつてカクヨムで『SEX』という短編作品を投稿したんですよね。その作品はあまりに過激な性描写が描かれてました。その作品は大きな反響を呼び、たくさんの評価をもらったんですよね――博士、私、ぶんちくさんのところで、非公開状態になっている『SEX』を読ませてもらいました! その時、初めて、博士の気持ちが分かったんです。この人はエロが書きたかったんじゃないんだ、その先にある人間をこそ書きたかったんだって」
「白鳥君……僕は、僕は……悔しいんだ! 僕はあの作品を通して、性を越えた先にある、人の本当の姿、命とは何かを書きたかっただけなんだ! それなのに……それなのに……」
「博士……悔しかったんですね」
「……いや、すまん……恥ずかしいところを見せたね。人前で涙を見せるなんて、いい年をして情けない男だよ」
「そんなことは、ありません! 私、私、もう一度博士と一緒に働きたいんです! 博士の研究を世に広めて、二度と同じような悲劇が起こらないよう、そして博士の心がいつか癒されるように、博士のそばで博士と一緒に頑張りたいんです!」
「……白鳥君、君は本当に美しい。もはや、エロなどというものをはるかに超越した本当の美しさが君から溢れ出ている」
「そんなこと言わないでください、博士はエロだけど、優しくて、でも男らしくて……私、そんな博士、嫌いじゃないです……」
「ありがとう、君と一緒になら、僕はどんなことがあっても生きていける気がするよ――白鳥君、僕を助けてくれるかい!」
「はい!」
「仕事はきついよ!」
「分かってます」
「エロいことにも耐えねばならんよ」
「耐えてみせます!」
「エロい格好もせねばならんよ……まて、おおおっ、君、君が今履いているのは、以前、読者から送られてきた赤いリボン付きのエロいパンストじゃないか!」
「……今日だけの特別サービスです」
「白鳥君、君はやはりエロの女神だ! エロのヴィーナスだ!」
「……その言い方は、あんまり……」