アマチュア作家の成り上がり執筆録

素人作家がどこまで高みに昇ることができるのか

【小説の書き方について考える】 キャラクターの重要性

 今回はキャラクターについて考えてみたい。
 物語を作るにあたって、魅力あるキャラクターができると、それだけでその物語は輝きを増します。
 極端な話、面白いストーリーだけどキャラがイマイチというのと、ストーリーは平凡だけどキャラが立ってるとなれば、断然後者の方が読まれると思う。
 それじゃ、魅力あるキャラクターとはどんなものだということになるが、まずは個性があるということが第一条件になるでしょう。
 つまり、読者の頭にありありと想像できるくらい、分かりやすいキャラということです。

 ここで勘違いしないで欲しいのが、例えば、学園一の美少女とか、イケメン高校生などというのは全く個性にはならないということです。それは抽象的な個性であって、そのキャラだけの唯一無二の個性とは言えません。ゲイやレズなどのLGBT的特質も文芸の世界では、あまり珍しくなくなりました。
 じゃあ、何が個性だと言うのでしょう。
 
 それを考えるヒントは、現実世界にあります。 
 例えば、僕はあまり芸能には興味がないので、例えば○○坂48と言われても誰が誰やらさっぱり分かりません。
 まあ、みんなそれなりに可愛いなあくらいにしか思いません。
 でも、僕の仕事の同僚や友人となると違います。みんなそれぞれ個性があるなと思ってしまいます。
 なんででしょうか?
 それは、その人たちが自分の身近にいて、その人の語る声がしっかり耳に聞こえてくるからです。その人の考え方や性格がよく分かるからです。
 
 僕は個性を感じさせる最も大きな要因はその人間が生み出す言葉だと思っています。
 その人間に何を語らせるか、それが強烈な個性を生み出すんだと思います。
  
 自分の作品で恐縮ですが、僕が今書いている長編作品にリュウという少年が出てきます。
 このリュウは相当強烈な個性を持っていて、カクヨムという小説投稿サイトで活動していた時に、読んでいただいた多くの方から、たくさんのコメントをいただきました。

 僕の考えるキャラクターづくりの一つの喩えとしてリュウの登場シーンの一部を紹介したいと思います。

 

リバイアサン ~リュウという少年~

「……あ、ありがとう、リュウくん」
 さきほどまで四つん這いになって金髪の少年の靴を舐めていた貧相な少年は、すかさず立ち上がるとリュウに近づいて媚びるような笑み浮かべた。
 その笑みを見た瞬間、リュウは少年を殴り倒していた。そして尻もちをついてびっくりしたような顔つきでこちらを見ている少年にずいと近寄ると、その顔を思いっきり蹴り上げ、何度も何度も踏みつけた。その顔はさきほどまでの無表情な顔とは違い、憎悪ともいえる感情が迸っていた。
「俺はお前みたいなのが、一番嫌いなんだよ!」
「お前のその卑屈な面見てるだけで反吐が出るんだ!」
「お前、自分が恥ずかしくねえのか!」
「なんだ、あの様はよ!」
 一言叫ぶごとに、悪鬼のような顔で蹲った少年の顔を蹴りつけた。少年の顔はもう血まみれだった。

 荒い息をしながら、リュウはその姿を見下ろした。その時、少年がブツブツと何かつぶやいているのが聞こえた。
「……俺だって、俺だって、あんなことしたくないよ……だけど、こうでもしなきゃ、生けていけないだろ……俺たちは負け犬なんだ……だったら、なんでも言うこと聞くしかないだろ……」
 少年の目にはいつの間にか涙がこぼれていた。リュウはそんな少年の姿をじっと見つめた。
「――どうしても、生きてえんなら、その口はあいつの足を噛み切るのに使え――あいつの足を噛み切って、あの御大層な靴を売って生き延びろ。それができねえんなら、生きる価値なんてねえ、家族みんなで仲良く死んだ方がましだ――」

 

 一人の読み手としての目で読んでも、このリュウという少年が異常な、ある意味凄まじいばかりの激情をもっていることが分かります。
 そして、なんとなくキャラが浮かんできます。
 たぶん、蹴られた少年と同じように貧相な身なりをしているんでしょう。ですが、その体からは何か禍々しいほどの気が立ち上り、常に何かに不満を抱いているんだろうなと感じます。

 僕はキャラを作るときに、そのキャラがどんなことを思っているのかを第一に考えます。そして、その思いがなるたけ読者に伝わりやすいようなセリフを考える――いや、考えるというのは少し違う。僕は、そのキャラになりきる。そうすると、そのキャラの思いが自然と言葉になって出てくる。
 ある意味では、僕が作るキャラというのは、僕の内面にいるもう一人の自分なのかもしれません。

 つまり個性あるキャラを作りたいんなら、そのキャラにあなたがどこまでなり切れるか、どこまで感情移入できるかどうかが問われるんだと思います。
 もし、そのキャラになりきれたとしたら、そのキャラの声はあなたの声です。
 あなたはこの世界で唯一の個性を持っています。
 だからこそ、あなたの声を語るそのキャラクターにも個性がにじみ出てきます。

 あなたは自分のキャラに感情移入できていますか。
 そのキャラクターを本当に理解していますか。
 全てはそこから始まるような気がします。

 

「小説の書き方」に関するまとめ記事はこちら

 

 

TOP