アマチュア作家の面白い小説ブログ

素人作家がどこまで面白い小説を書くことができるか

【小説技法】ストーリーとテーマ

 僕が考える面白い小説の要素の一つは、起伏のあるしっかりとしたストーリー構成です。

 ただ、これはいろいろな書き方があると思います。人によっては全部の場面をあらかじめ考えてから書く人もいるし、とにかく書き始めて筆の勢いに任せていく人もいるらしい。そういう人はラストもよく分かってないこともあるそうです。純文学だと後者でもよさそうな気もしますが、エンタメではそれはかなり危ないでしょう。

 僕はエンタメ系の作品が多いので、一応は、ある程度のプロットを決めてから書きます。
 でも、それはかなりアバウトです。本当にアバウト。
 前回、キャラになり切ると書きましたが、キャラがプロットの方に進んでいかないこともままあります。
 まして、ストーリーなどは、本当にその場その場で考えます。
 結果的に、ある地点(プロット)にたどり着ければいいと思っているので、あまり深く考えていません。
 これも、旧エッセイに、そんなようなことを書いたので紹介します。

 

 みんながそうなのかは分からないが、僕は連載の場合はまったくストーリーを考えずに、その場その場で思いついたことを書いている。

 じゃ、最後とんでもないことになっちゃうだろうと思うだろうが、プロットは決めているので、そうはならない。
 どういうことかというと、例えば僕が以前書いた「42.195キロ」という作品。たくさんの方から身に余るレビューもいただいただき、僕の代表作になってしまった感もあるが、これなんか、全くストーリーを考えないで書いた。だから、親父さんとのシーンとか、最後のヒロインの出会いとかは、その時その時に思いついたことを書いただけである。

 じゃ、何がプロットだというと、こんな感じ。

 1 人生に希望もなくなった30代くらいの男がいる。
 2 何かを変えたいと、フルマラソンにチャレンジするが、当然、きつい。途中で諦めかける。
 3 諦めたら終わりだと思い、なんとか走りきる。
 4 走り終わって、なんか、やった感があり、走るのも(人生も)まんざら悪くないなと感じる。

 たった、これだけで書き始めた。
 一話目を書くときに、希望がない30代独身なら、当然、彼女いないだろうなと。
 だったら、フラれた直後の方が、気分はどん底だろうなと。
 そんな感じ。

 カクヨムを始める前は違った。しっかりと構成を考え、最後までストーリーも考えた。でもカクヨムで書き始めてから、こういう書き方の方が性に合っていると気づいた。

 自分を追い詰めた方が書けるというか、選択肢があると全体の構成に拘ってしまい、いつまでもこっちの方がいんじゃないか、あっちの方がいんじゃないかと、いろいろ考えてしまって先に進まないことがある。
 だったらもう、書いちゃえ! みたいな。
 それだとその続きを書くしかない。他の展開を考える必要がない。
 そういう方が性に合っているということなんだと思う。

 だがそういう書き方をしていると、書き直しができないという致命的な欠点がある。だから結構覚悟がいる。

 今、僕が書いている「鎮魂の唄」という話で、最重要キャラである主人公を殺してしまった。
 それについてはいろいろと思いはあるのだが、そのために相当苦しい状況に置かれてる。
 あいつがいれば、簡単に勝てるのにと、そんなことを思ったりする。

 でも、その苦しさの中で考えに考えたストーリーの方が、良いものになるのかもしれない。今は、そう信じて書いている。


 最後、余計なことまで書きましたが、僕はそんな感じです。
 結局、ストーリーというのは、キャラクターの個性に相当引っ張られると僕は思っています。キャラクターが確立されてくると、勝手にキャラクターが動き始めるので、細部までストーリーを考えなくても書けるというのもあります。
 
 じゃあ、プロットはどうなんだということになるんでしょうが、それは、その物語を書く目的、すなわちテーマに関わってきます。
 結局、自分は何を書きたいんだということが、このプロットに関係してくるんだと思います。

 上の例でいけば、『42.195キロ』という作品で僕が書きたかったのは、マラソンを人生に喩え、苦しい、本当に苦しいマラソンを一生懸命走ることが、実は、人生という長い道を走ることと同じなんだよってことを書きたかった。

 だから、出だしは、人生に諦めを持ち始めた、意欲を失いかけた人を主人公にして、ひたすら走らせました。当然、諦めかける、だけど、そこで終わっちゃいけない。そこで終わったら人生が終わっちゃう。だから、走る。必死に走る。そして最後に、走り切る喜びを得る。生きる喜びを知る。

 そういうテーマさえ書ければ良かった。だから、それに合うようなストーリーをくっつけた。そういうことでした。

 

マラソン

 

bunchiku.com

 

 僕が思うに、肝心なのはストーリーよりも、いったい何を書きたいんですかってことなんだと思います。異世界、ファンタジー、恋愛、ラブコメ、ミステリー、ホラー、ジャンルが違うだけでどれもおんなじです。
 あなたが書きたいのは、なんですか?

 成長、復讐、不合理、感謝、愛情、違和感、エロ、なんだってあるでしょうし、なんだっていいです。でも、そこがぶれると物語は破綻します。おそらく、途中から潮が引くように読者が離れていくと思います。

 僕も、かつて好きだった連載小説が途中からなんか合わなくなって、読まなくなったことがありました。それはストーリーというよりも、テーマがぶれてしまったことによる失望です。
 映画の続編がたいていつまらないのは、テーマを無視してキャラだけを生かそうとして、もともとのテーマからすればありえないストーリーを作るからです。

 すいません、ここ数話、本当に偉そうなことを言ってますが、前に言ったとおり僕は素人であくまでも読者視点、素人作家視点で語ってますので、あまり本気に取らず適当に読んでくださいね。
 僕はただこんな話が好きで、だらだらと書いているだけなので。

 

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