さて、今日はプロットの話をしたいと思うが、そもそも僕はプロットとは何か正確に理解していないので、ウィキペディアで調べてみた。
プロット (英語: plot) とは、ストーリーの要約である。プロットはストーリー上の重要な出来事のまとまりであり、重要な出来事とは、後の展開に大きな影響を与える出来事である。すなわち、プロットは出来事の原因と結果を抜き出したものである。ここでいう原因と結果とは、例えば「犬が歩く。棒にあたる。動物病院に運ばれる。治療を受ける。回復する」といったことである。
プロットはストーリーとは異なる。プロットは因果関係であり、ストーリーは単なる前後関係である。「王女は雪山に逃げた女王を追う。だから、王女は雪山で女王を見つける」はプロットである。一方で、ストーリーは、出来事を起こる時間の順序どおり、省略せずに並べた文章であり、プロットとは区別される。「王女は雪山に逃げた女王を追う。それから、女王は魔法で氷の城を造る」はストーリーである。このように、「だから」で出来事のつながるものがプロットであり、ただ単に「それから」でつながるものがストーリーである。
なるほど非常に分かりやすい。
まあ、でも僕がイメージしていたものと近くて良かった。
つまり、物語に大きな影響を与える出来事の連なりだということのようだ。
今日はこれでいいんじゃないと思うがそれではあんまりなので、僕のプロットづくりでいつも念頭に置いていることを書こうと思う。
それは物語に仕掛けた謎を物語を進めるスイッチにしているということだ。
僕は物語における謎の存在を非常に重視している。
これは以前も書いたが、僕はどんなジャンルの物語でも謎の存在が不可欠だと思っていて、謎がある作品は読者の集中を切らさず、しかも物語に緊張感とメリハリを与える。
毎度自分が書いた物語を持ち出すのは恐縮だが、密教と曼荼羅世界をベースにした「鎮魂の唄」という長編を書いている。この中で僕は仏だけが身に備える十の力というものを考え、物語の核心、まさに謎に据えた。そう言う意味ではこの作品のテーマは、主人公が仏の十の力を探し求める物語ともいえる。だからプロットもその力が一つずつ明らかになっていく構成をとっている。
1 Aという力をもつ主人公が、様々な力をもつ霊が集まる地にやってくる。
2 主人公の出現がBという力を持つ存在を呼び寄せる
まあこんな風に、C,D,E…の力をもった存在がどんどん表れて、仏の十の力が次第に明らかになるという形をとっている。そう言う意味ではこの物語は僕にとっては書きやすい形だった。ストーリーを書くのも非常に楽で、自分の好きなように好きな人物を出してその力を明らかにすることができた。
ただしそれは単なる物語を進める手順に過ぎす、この物語で一番書きたいのは何かというと、前回のテーマである世界観の構築に関わってくる。僕はこの物語を書くにあたって密教世界と曼荼羅世界というキーワードから入っていき、そこを掘り下げていくうちに鎮魂というものに思い至った。恨み、無念、そういったものたちの魂を鎮める物語を書いてみたいと思ったのだ、だから一見、密教を使った呪術合戦かと思いきや、その底辺には常に鎮魂というテーマを貫かせている。
そう言う意味でもやっぱり世界観の構築がプロット作りにおいても重要なのだ。物語の世界観、そしてみそというかオチというか謎というべきか、とにかくそういうものがはっきりしていれば、それを最大限読者に訴えることができる重要なインシデントを効率よく考えることができる。
すぐにプロットを作りたい人もいるかもしれないが、上に書いた通りプロットは単なる因果関係であり手順に過ぎないので、実は僕はそれほど重視していない。
極端な話、書いている途中で変わることさえよくある。
プロットの話をしているのにこんなことを言っては身も蓋もないが、まあ僕はプロットをその程度にしか考えていないということだ。
何を書きたいのか、それを最大限生かすために、どういう出来事を用意すればいいか。そう考えるとやっぱり一番肝心なのは、何が書きたいのかということなのだ、何を伝えたいのかということなのだ。それがしっかりと決まらないうちはプロットなど決めようがない。
主人公の成長を主軸に据えたファンタジーなら、当然、主人公は挫折も苦悩もするに違いない。であれば敵に負けることもあろう。自分の歩みに疑問を持つこともあろう。だったら、そういう強い敵との戦いをどこかに挟む必要があろう。世界を救うことに疑問をもつインシデント、敵と思っていた存在にも戦う理由があることを知るインシデントが必要だろう。
書きたいことが決まっていれば、プロットはおのずから出来上がる。
あとは、そこに如何に自分なりのオリジナリティを入れ込めるかだ。
僕が考えるプロットづくりとはそんなものである。