自分の命を愛しすぎても憎んでもいけない。だが、生きてる限りは生命を大切にするがよい。長く生きるか短命に終るかは、天に委ねるがよい。
引用:『失楽園』(著:ミルトン 訳:平井正穂)
思えば、僕はこの小説を読んでキリスト教史観や思想に興味を持ったのかもしれない。
だが、このミルトンの作品は決してキリスト教に肯定的だとは思わない。最初読んだときは神に追放されたサタンの英雄然たる姿の方にこそ目を奪われた。
それどころか未来を全て見通している癖に、弱い心が悪に染まるのを黙って見過ごしている神の方に嫌悪に近い違和感を感じた。
この言葉は大天使ミカエルが人間の祖であるアダムに語った言葉だが、ある意味、凄く人間らしく聞こえた。
100年にも満たない人間の命は、宇宙や地球の歴史から見れば塵のような存在かもしれない。だが、そうであったとしても命の尊さ、命の峻厳さを失ってはならない。
そう教えてくれたような気がした。
今、僕が書いている「リバイアサン」というダークファンタジーの根底にあるものは、この中から生まれたと思っている。
そして、僕の生き方の根底にはこの言葉がある。
生死は誰かが決めること。
生きている限り、走り続ける。
生きている限り、挑戦し続ける。
そこに人間の価値があると僕は思っている。
ここから先は、頂戴したコメントとそれらに対する僕の一言です。
「たった一つの言葉が人生をより良い方向に変えていける。自分もそうゆう経験があるので共感できます!日本語って豊かですよね」(Aさん)
「そうだ、絶対に消えまい!
わたしは自然の絆が自分を引きずってゆくのを感ずる。
わたしの肉の肉、わたしの骨の骨、それがお前なのだ。
お前の境涯からわたしは絶対に離れないつもりだ、
――幸、不幸いずれの場合にしてもだ!
ミルトンの『失楽園』はワタシも好きですね。
「楽園追放(パラダイス・ロスト)」を否定的ではなくある種『肯定的』に捉えている部分も面白いと想いました。全体の構成から完全に【サタン】が主役ですしねwアダムは殆ど「狂言回し」なポジションでした。最後に見せ場はありますが」(Sさん)
「心に響く言葉」というテーマで一番最初に取り上げようと思ったのがこの作品でした。
まさに、心に響く言葉でした。
今、この一瞬を必死に生きる。
その結果が何を産むのか。
それは天が決めること。
まさに、僕の生き方を決めた言葉でした。
この失楽園を書いたミルトンは、宗教改革の熱冷めやらぬ時代に生まれたイギリス生まれの作家らしく、カトリックを毛嫌いしていたといいます。
だからなのか、まるでサタンが主人公であるかのような書き方をしています。
そしてまた、このサタンが物凄く人間臭くて、共感が持てるんですよね。
そして、それを卑下していない。
悪として、誇り高く生きる。
主人公は絶対正義で、対する魔王や鬼は残虐非道な悪。
この作品は、そういうテンプレ的な世界観を根底から見つめなおすことのできる、とてもいい作品だと思います。
かくいう僕もそういう考えに感化された一人です。僕が書く物語には当然敵役もいますが敵には敵なりの思想を持たせています。それは彼等にとっての正義でもある。
絶対の正義などありえない。
この世界で、いまだに宗教戦争が絶えず、国同士がイデオロギーをかけて争うのも見るたびに、僕はそう思います。
だからこそ、僕は僕の信念で生きる。
それと敵対するものとは全力で戦う。
その結果が何を産むのか、それは天が決めればいい。
今は、この一瞬を必死に生きようと思っている。