自分の命を愛しすぎても憎んでもいけない。だが、生きてる限りは生命を大切にするがよい。長く生きるか短命に終るかは、天に委ねるがよい。
引用:『失楽園』(著:ミルトン 訳:平井正穂)
思えば、僕はこの小説を読んでキリスト教史観や思想に興味を持ったのかもしれない。
だが、このミルトンの作品は決してキリスト教に肯定的だとは思わない。最初読んだときは神に追放されたサタンの英雄然たる姿の方にこそ目を奪われた。
それどころか未来を全て見通している癖に、弱い心が悪に染まるのを黙って見過ごしている神の方に嫌悪に近い違和感を感じた。
この言葉は大天使ミカエルが人間の祖であるアダムに語った言葉だが、ある意味、凄く人間らしく聞こえた。
100年にも満たない人間の命は、宇宙や地球の歴史から見れば塵のような存在かもしれない。だが、そうであったとしても命の尊さ、命の峻厳さを失ってはならない。
そう教えてくれたような気がした。
今、僕が書いている「リバイアサン」というダークファンタジーの根底にあるものは、この中から生まれたと思っている。
そして、僕の生き方の根底にはこの言葉がある。
生死は誰かが決めること。
生きている限り、走り続ける。
生きている限り、挑戦し続ける。
そこに人間の価値があると僕は思っている。
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