アマチュア作家の成り上がり執筆録

素人作家がどこまで高みに昇ることができるのか

【カクヨム読まれない】長編執筆の大変さ

 ここまで、手持ち作と思い付き短編で予想もしなかった反響を得た僕は、今度は長編を書いてみようかと思い立ち、『42.195キロ』を書き終えた翌日から考えなしに、密教を題材にした新しい新作長編『鎮魂の唄』を書き始めました。

 ですが、プロットだけ決めて適当に書くようになっていた僕は、この物語を書くのに物凄い苦しむことになり、終いには小説を書くのはやめようとさえ思うようになってしまったのです。

 『鎮魂の唄』は毎日毎日が試行錯誤の連続でした。
 女子高生の今風の言い方や化粧事情? ……知りません
 仏教の概念や仏、菩薩、明王とは何か? ……知りません
 敵はどうする、終わりをどうする、この物語で伝えたいことは? ……まだ、そこまで熟成してません
 そんな状況でどうにかこうにか書いていました。
 
 そんな中、こんだけ頑張って書いているんだから、もっと見て欲しい。週間一位、月間一位になった作品を連続して書いたんだからもっと注目されていいんじゃないか、僕はそう思うようになっていました。ところが、意に反して、爆発的に読まれるってわけではなかったんです。
 当然、熱心に読んでいただいた方は数多くいました。応援コメントもたくさんいただきました。でも、確変状態のような体験をしてしまった僕にとって、それでは物足りなかったのです。

 僕はツイッターでPRを始めました。更新するごとにつぶやきました。
 その頃はまだ、他のサイトでも更新は続けていました。
 はっきり言って、五つも、いやその時はL〇NEノベルにも参加していたから六つか――とにかく、それだけのサイトに同時更新を続けていました。
 朝から六つのサイトそれぞれにアップロードして、それぞれのPVを確認し、こんなはずじゃなかったと不満を募らせる。
 それがその時期の僕でした。
 毎日書き、毎日投稿し、毎日PRし、ほどほどの結果を知る。
 そういうことに僕は疲れ切っていました。

 幸い、何人かの方は、『鎮魂の唄』をずっと応援してくれました。
 その声だけを支えに書き続けました。
 そして、そんな僕の心境が投影されたように、主人公たちも非常に厳しい戦いを戦っていました。
 非道な殺人鬼にヒロインの父を殺され、主人公もだまし討ちに会い、絶体絶命の危機にありました。
 最後の数話は、本当に書くのもしんどかった。
 どうすればいいのか?
 僕はこの物語をどうしたいのか?
 そして、まさに自分の魂を削るように書き、書き始めてから一か月後、僕はようやく『鎮魂の唄 ~金剛薩埵編~』を書き終えることができたのでした。

 その後しばらくは、書く気力がありませんでした、いや、書くことすら嫌になっていました。
 いろんなことを考えました。その中の選択肢には、やめようという思いもありました。
 そして僕はある結論に達したのです。
 そのときの思いを書いたものが旧エッセイにあるので、ここでご紹介します。

 実は、少し前に『鎮魂の唄』という作品の小編を完成させた後、物凄く、落ち込んでしまい。一時は、もう書くのはやめようかなと思いました。

 僕はそもそも作家を目指してるわけでもなく、自分が書きたいテーマを書いていければいいと、そう思っていたつもりでした。ただいつしか、人気を取るためにはどうすればいいかということだけ考えてしまっている自分がいました。
 とにかく読んで欲しい、読んでもらいたいと、いろんな投稿サイトにアップしたり、ツイッターも取得して、ツイートしてみたりもしました。そんなこと全てに嫌気がさしました。

 でも、かなり前に書いた作品にさえ、いまだにたくさんの方からコメントいただいたり、応援してもらえているのを見て、次第に心が変わってきました。やっぱり書きたいとそう思うようになってきたんです。ただ、自分が何のために書くのかなということは、相当考え、一つの結論に達しました。

 僕は自分の書きたいテーマだけを追求して、それでも僕の作品を良いなと思ってくれる人のために書こう!

 そして、もう一つ。他のサイトは全て辞めちゃいました。なろうもLINEノベルも他の投稿サイトも辞めちゃいました。
 まさにカクヨムオンリーです。

 今でも、僕の考えは変わっていません。
 人気取りみたいなことはしないし、受けを狙ったような作品を書くつもりもありません。
 しっかり読んでくれる人のためだけに書く。それが、カクヨムでいろんなことを経験した上で、たどりついた結論です。

 

アドバイスコーナー

 長編を最初から最後まで孤独に書くのは本当に大変です。
 まずは、勢いでは到底書けない。必ず、途中で壁にぶち当たります。長い作品は意味があって長いのであって、長いに相応しいテーマとストーリーが必要です。そして、書いてる途中でこんなんでいいのかと自信を失ってしまいます。

 『鎮魂の唄』という作品。上に書いた通り、ゴールも曖昧なまま書き始めました。登場人物やエピソードもその日その日の思い付き。今思うと、よく書いたなと本当に冷汗が出る思いです。
 しかも毎日……
 あの頃は、絶対に毎日投稿するんだと勢い込んでおり、それはエネルギーにもなりましたが、とんでもないプレッシャーにもなりました。
 本当に、読者からの応援を唯一の支えに、毎日頑張り続け、なんとか、金剛薩埵編という一編を書き上げたのでした。

 この作品は、いまだに連載中で、今は四天王編というものを書いています。
 自分でもどこで終わるのかまだ判然としていないのですが、いまだに読者の支えがあって書いています。

 今では長編3本同時連載という無謀なことにチャレンジしているのですが、あの頃のように毎日なんてとんでもない。
 自分としては三つの作品を交互に書くことである程度客観的な視点でもって、より熟成したものがかければいいなと思っています。
 まあこれも、余裕ができたからそんなことも思えるようになったんでしょうね。

 皆さん、せっかく物語を書こうと思ってカクヨムに参加しているのなら、ぜひ一度は長編にチャレンジしてみください。
 長編を書くと、本当にいろいろなものが見えてきます。
 自分がどういうタイプなのか、ものを書く人間としていったい何を目標にしているのか、そして自分が本当に書きたいものは何かってことを。

 

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※ このエッセイは、かつて僕がカクヨムという投稿サイトで活動して際に書いたものを掲載していますので、現在の実態とそぐわないことがあるかもしれませんが、その点についてはご容赦ください。

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