最近、お笑いにはまっている。
一時、内輪ネタばっかりで盛り上がる風潮に飽き飽きして全く見なくなっていたが、嫁さんと娘が「有吉の壁」という番組が好きで、毎回見せられるたびにはまってしまった。
この番組の何がいいって、よくある順繰りに出てきてコントや漫才披露っていうのではなく、毎回ロケ場所を変えてそこにあるもので笑わせるという芸人の臨機応変さがみられるところや、コンビ間のコラボにより新しい魅力が出てくるところ、いろんな企画があってその芸人の意外な面白さを感じられるところだ。
みんな面白いけど、とりわけチョコレートプラネットやシソンヌ、ジャングルポケット、パンサー、友近さんなどは本当に面白い。
こういう面白い方々のコントを見てると、面白いってだけでなく、創作しているものの端くれとして完成度の高さに感動してしまうときもある。
こんなシチュエーション考えつく!
こういう展開あり!
最後こう来たか!
まさに手を叩いて、唸ってしまう。
芸人さんたちは無駄を削ぎ落し、あらゆる行動と会話と場面設定にこだわり、笑いという一点に凝縮してコントを作る。
それは創作となんら変わらない。
僕らも恐怖であったり、謎解きであったり、感動であったり、とにかく読者にある感情を抱かせるために物語を構築するが、彼らのコントを見てると完成度という点で足元にも及ばないって気がする。
創作は音楽にも喩えられるかもしれない。
イントロがあり、序盤、中盤、終盤と展開する。
スローテンポからアップテンポに変わったっていい、クレッシェンドの場面がありピアニッシモの展開があってもいい。
だが音符一つ一つには無駄はなく、曲全体を成り立たせるために必要なピースとして機能している。
面白い小説の書き方を学びたいというなら、つまらない作家の本を読むよりも一流のアーティストの作品を見た方がよほど役に立つと思う。
僕は読書ばっかりの書き手は思考がワンパターンになり、視野が狭くなると思っている。
模倣にだけ気を取られて、進取の気風がなくなる。
なにいってんの。新人賞を取るんだったら、塾に通って、新人賞の傾向を分析して、受賞作品の書き方を真似するのが一番だよ。
そんな風に反論する人がいるかもしれない。だがそれが作家の登竜門たる新人賞の実態なんだとしたら、僕は鼻で笑って、新人賞作家の小説など一切読まない。そんな作家ばかりが書いた文学など糞くらえだ。
歴史上、文豪と言われた人たちは、僕たちとは比べ物にならないくらい本を読んだろう。でもその人たちは、それと同じくらい時代や自然や自分を真摯に見つめていたと思う。
だからこそ彼等の書いた物語は面白く、人に感動を与えてくれる。
だからこそ彼らの書いた物語は時代を超越して、読み継がれていく。
僕はそういう物語が好きだし、そういう物語を書きたい。