アマチュア作家の成り上がり執筆録

素人作家がどこまで高みに昇ることができるのか

【小説の書き方について考える】小説技法 ~闇のある物語~

 以前、好きな時代と書きたい時代は違うみたいな話をしましたが、それと同様に、書きたいジャンルと読みたいジャンルの違いということを書いてみたいと思います。

 僕が書きたいものは何度も言っているように、人間の叫び声が文章の中から聞こえてくるんじゃないかっていうぐらいの物語です。
 当然、そういう物語が好きで読みもしますが、読者の立場となると、実は一番好きなのはミステリーです。それも、少しホラーなりオカルト要素が入ったもの。そういうのが凄く好きです。

 映画の方が皆さん分かると思いますので、例えば「セブン」とか。
「エクソシスト3」という映画があります。僕はあんまり続編は好まないんですが、これは「エクソシスト」の原作者が、監督となって作っただけあって、原作の雰囲気を完全に踏襲した新しいミステリーになっており、これも大好きです。
 スタンリー・キューブリックの「シャイニング」も、スティーブン・キングの原作とはかなり変えてますが、僕はこちらの方が好きです。

 

 

 この少しホラー要素が入っているという言葉をもう少し違う言葉で言うと、影がある、闇があるってことです。
 谷崎潤一郎は、「陰翳礼賛」を書いたように日本人の生活の中にある影というか闇をことのほか愛したそうです。
 実は僕も同じ思いを持っており、闇というものに心惹かれます。そこに恐ろしさと逆に覗いてみたいという探求心を感じてしまうのです。

 だから僕は、あるあたりから日本のドラマを全く見なくなりました。
 イケメン俳優と美人女優が大集合し、現実にはありえないだろって感じの隅から隅まで綺麗に整った部屋で、なんとも軽い演技を披露する。脇役にも芸人を使って、とにかく話題を引こうとする。ま、一言で言えば、ライトすぎるってことです。

 そのライトって言葉が、結局ライトノベルにもつながってきて、僕の趣味からは完全に外れてしまうんですよね。
 洞窟入って、オークやドラゴンと戦おうとするやつらの中に、全裸に近い姿の女性キャラがいる。
 おいおい、ドラゴンの吐く炎って、そんなに弱っちいの? 火傷するぞ!
 いくらなんでもオークをなめすぎじゃない? 
 洞窟って、蝙蝠やら、げじげじやら、変な虫がたくさんいるんだけど、そんなかっこで平気なんだ。
 リアリティゼロ。自分で自分の世界をぶち壊しているとしか思えない。
 だから結局、冒険物語じゃなくて、妄想物語になっちゃう。

 まあ、そういう作品を好む人もいるから、これ以上はいいませんが、とにかく僕はそういうライトな、闇がなんにもない作品を好まないんですよ。

 闇と影。
 なんかページをめくるのが怖くなるような作品が好きなんです。
 べらべらキャラにしゃべらせすぎるんじゃなくて、敢えて書かずに想像させる。
 ちょっとした変化を書くだけで、人の心に波を立てる。
 そういう作品を読みたいと思うんです。

 

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