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【小説技法】ファンタジーとリアリティ その3

 最近のファンタジー小説は、キャラが完全にゲームテンプレ化しているように感じる。
 ラノベの表紙など見ると、どれもこれも、美男美女の勇者、戦士、僧侶、魔法使いなどが描かれ、もはやファンタジージャンルと呼ばれる物語は、こうしたキャラがいないと成り立たないと言わんばかりだ。

 そもそもこうしたものは、アメリカのテーブルトーク型ロールプレイングゲームから生まれたもので、それがゲームになりアニメになり、圧倒的な人気となって現在に至るが、これはあくまでもファンタジーの一つの要素でしかない。

 

テーブルトークRPG

引用:Wikimedia Commons

 

 まあ、ドラクエやウィザードリーにおおはまりした僕としてもそういうものは嫌いじゃないが、こうした設定で物語を書こうとすると大きな問題にぶち当たる。

 それはキャラの個性までテンプレ化してしまうということだ。
 そもそも勇者などという職業やら属性があるのかという疑問もあるが、そんな役割を与えられたキャラを書けといわれたら、どうやって個性を与えたらいいのか相当悩む。

 まあ、もし僕だったら、最終的にあいつは勇者だったと人に言わせることはするかもしれないが、自分は勇者ですなどというようなキャラなどとても書けないし、書きたいとも思わない。僕が書くなら、数奇な運命により重い責任を負わされた一人の若者の苦悩と情熱を描く気がする。
 勇者である前に、一人の人間を描く。そうしないととても個性など出せない気がする。

 僕は異世界ファンタジー作品なるものを真面目に最後まで読んだことがないので、そもそもよく知らないのだが、テンプレ化した物語が溢れかえる中で、書き手の皆さんは、どうやって自分のキャラを立たせているんだろう。それがしっかりできているというのであればある意味凄いなと感心するが、勇者や戦士や魔法使いという属性しか見えてこないキャラが山のように出てくるだけの話だとしたら、名前を覚える前に本を閉じてしまうに違いない。

 ゲームの世界をそのまま書くだけなら、小説はゲームには絶対に勝てないと僕は思う。
 それでも、あえて小説を書きたいと言うなら、ゲームの枠組みを壊すくらいのものを書いて欲しい。

 例えば、いくら技を磨いても、経験値を積んでも絶対に倒すことができない敵がいるとする。ゲームじゃ絶対にありえない話だ。
 いったい、どうすれば倒すことができるのか。主人公は悩む、ひたすら悩む。その悩みと悩んだ末の結論が新たな世界を創るかもしれない。

 僕はテンプレ系作品の先に、大きな未来はないと思う。なぜなら、テンプレ作品は人間ドラマに向いていないからだ。
 人間は勇者になれるかもしれないが、生まれついたら勇者だったなどという人間など決していない。
 そして僕は、一人の人間が勇者へと成長する物語をこそ、読みたいと思っている。

 

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