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【小説技法】長編の書き方 その8

 プロットも決まった、キャラも決まった、こうなれば、あとは自然に物語は進んでいき、ついにラストを迎えることになります。
 今日はこのラストについて書いてみたいと思います。

 ラストの形自体は千差万別、ハッピーエンド、ビターエンド、バッドエンド、いろいろあるんでしょうし、どれがいいなんてものはないと思います。
 ただどんな形であれ、終わるときにしっかり終わらせることが大事だと僕は思っています。

 長編を書いた人なら分かりますが、やっぱり最初の長編はもの凄く愛着があるんですよね。
 ある意味、終わらせたくない。
 だから、引き伸ばしたくなる。
 でも、それは本当に必要かということをしっかり考えるべきだと思うんです。
 自分が本当に書きたかったもの。
 それが書き終えたと感じたら、そこで筆を止めるべきだと思うんです。
 キャラに愛着が出てきて終わらせたくない、もっと書きたいなんて思い始めると、余計なストーリーをつなげ始めます。そうすると最初に言いたかったことがぶれ始めます。
 そうなると結局、何を伝えたかったのかってことが分からなくなってしまう。
 特に、アマチュアが書く恋愛やファンタジー系のドラマだと、そういう傾向が多いように感じます。でも、そこは心を鬼にしてしっかり締めるべきだと思います。

 僕が今書いている「鎮魂の唄」という長編は、「金剛薩埵編」、「国津神編」、「四天王編」と編をあえて分けました。
 実際のところは、全部書ききれるか自信がなかったというのが本当ではありましたが、壮大なテーマの長編を書く手法としてはちょうど良かったと思います。
 おかげで、編ごとに起承転結を付けられ、また物語全体としてラストに向かううねりみたいなものも出せているかなと思います。
 おそらく次の「大日如来編」が最後になりますが、今までと同じ形を踏襲すればいいと思っているので、おそらくしっかり締められるだろうと感じています。

 とにかく長く続けるよりも、しっかりと終わらせて次の長編に向かうべきだと思います。
 物語を書くスキルは、書いた作品数によって比例的に向上していきます。
 100万字を超える長編を一つ書くよりは、10万字の長編を10作品書いた方が、圧倒的に技量が向上すると思います。
 特に一発目の長編だとしたら、なおのこと、まずは完結させることを最大の目標にすべきだと思います。
 終わらない長編は、まだ作品じゃないんです。
 愛着があるのは分かるけど、そこにいつまでもこだわっていると、あなたの技量もずっとそのまんまです。

 それに物語には終えるべきタイミングというのが必ずあると思います。
 それは最初に自分が決めた書きたいテーマでもあるでしょうし、プロットでもいいでしょう。
 一応、そこまでたどり着いたとしたら、終わらせることができるはずなんです。
 そこで終わらせることが出来ないとしたら、その物語は消化不良を起こしてしまっています。
 でも、書き続けたからといって、もうその物語は完治しません。
 もう一度書き直すなり、全体的に推敲し直す必要があります。
 そのためにも、やっぱり一度終わらせることが大事だと思うんです。
 そうすることによって、ようやくあなたは客観的な目をもって、その作品を眺めることができる。
 ここが駄目だった、ここは良かったと、見直すことが出来るんです。
 それが一番大事なことなんです。
 前回書きましたが、書いている途中は全体像を見れないんです。
 だから肝心な推敲ができないんです。

 初めての長編。愛着のある長編。
 それはよく分かります。
 僕自身、そんな長編をたくさん抱えています。
 でも、いつか終わらせないといけない。
 そうしないと、あのキャラたちは、いつまでも解放されない。
 愛すべき物語だからこそ、終わらせなければならないと僕は思います。

 

the end

 

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