僕はカクヨムが嫌になってやめるのではない。
僕がカクヨムをやめるのは、僕の目的がカクヨムを始めたときと変わってしまい、カクヨムで書くことが僕の目的の達成に支障をきたすようになったからである。
カクヨムで書いているうちに、僕はラノベではなく、一般文芸を本気で書きたいと思うようになり、その実現に向けて、全力投球したいと思い始めてきた。
だがそうなると、カクヨムで自分の作品を最後まで書くことは、一般文芸の公募の条件である未発表という項目に抵触すると考えたからだ。
それが最大の理由であって、もし僕の目的が「気の合う仲間と交流しながら、それなりに読んでもらいたい」という当初に抱いていた目的のままだったら、このままカクヨムで書き続けただろう。
たしかに、カクヨムの読者層には一般文芸的な作品は受けない。
エロや異世界ばっかりで、カクヨム自体もそっちの方に目を向けている。
でも、それはカクヨムからすればしょうがない話であって、別にカクヨムを恨むつもりはない。
だって、一般文芸をネットで読みたい読者なんてほとんどいないんだから。
もともと一般文芸が好きな人というのは、紙の本が好きだと思う。
本が売れない売れないと言われているこの時代においても、おそらく紙の本を買って読んでいると思う。
そんな人が、ネットのしかもただのアマチュアのよく分からない一般文芸作品なんて読むと思いますか?
もし僕がただの読者だったら、おそらく読まないと思う。
暇つぶしに、ちらっと覗くことはあっても、本気でなんて読まない。
本屋に行けば、まだ読んでない本が山と積んである。自分の大切な時間を費やすなら、本屋で作家の本を買う。
じゃあ、カクヨムの一般文芸を読んでいる人は誰なんだと言えば、そりゃ、ほとんど自分も書いている書き手さんです。
そういう人は、僕も含めて、交流したいから人の作品も読むんです。または、読んでもらいたいから読むんです。
まあ、中には一般文芸も読んでくれる読み専の方もいます。
僕はそういう方々に恵まれた方だと思う。
でも、そういう方々は本当に希少な存在なんだと思う。
カクヨムで書き始めてから、このエッセイを含めて、僕は18作品も書いていた。
その18作品に★をくれた方の延べ人数を計算したら、901人、★の合計は2503個というとんでもない数になっていた。
いなくなった人、削除されてしまった作品もあるので、完全な数字ではないが、それでも僕は随分と恵まれた方だと思う。僕が★を付ける以上に、僕はたくさんの★をいただいてきた。
ある意味、最高の環境だったかもしれない。
だから、別に僕はカクヨムでの創作ライフに絶望して、嫌気がさしてやめるのではない。
本当に後ろ髪を引かれるような思いで、敢えて、新しい境地で書こうと思っているのだ。
確かに、カクヨムに対していろいろと思うところはある。
でも、そのほとんどは、カクヨムにとってみれば、いい迷惑でしかない。
僕が勝手にカクヨムに対して幻想をいだいてきたのだ。
良い作品を書けばたくさんの人に読んでもらえるんじゃないか。
カクヨムも僕の作品を取り上げてくれるんじゃないか。
そんな妄想を勝手に抱いてきただけなのだ。
それが果たされないからと言って、カクヨムが悪いわけじゃない。
そもそもカクヨムとはそういう場所ではなかったというだけのことだ。
だから、僕が皆さんに言いたいのは、カクヨムとは仲間同士交流するところと考えれば、思いっきり楽しめますよってことです。
これだけははっきり言っておきたいと思います。
※ このエッセイは、かつて僕がカクヨムという投稿サイトで活動していた際に書いたものを掲載していますので、現在の実態とそぐわないことがあるかもしれませんが、その点についてはご容赦ください。