アマチュア作家の成り上がり小説ブログ

素人作家がどこまで高みに昇りつめることができるか

『文学におけるエロ表現の追求(四)』

「白鳥君、ここではっきりさせておこうじゃないか」」

「えっ、いきなりなんですか?」

「実は、君がカクヨムに投稿してくれているおかげで私たちの共同研究が広く世に知られ、多くの人が読んでくれているようなんだ」

「それは、いいことじゃないですか」

「確かにな――だが、問題はだ。そのものたちが、一体を何を期待して、読んでいるかということなんだよ」

「どういうことですか」

「白鳥君、おそらく、これを読んでいるものたちは、皆、エロだ」

「……博士もエロだと思いますが……」

「何を言う! 私は研究対象としてエロに興味を持っているに過ぎない。前にも言ったろう」

「……一応は聞きました」

「だが、この研究成果を見ているものたち、またはこれから見ようと思っている人は、ただのエロの可能性が高い。彼らは、私と君がいずれエロい関係になるんじゃないかと期待してみているのだ! ここで、はっきりさせておこう、私たちがエロい関係になることは……たぶん、ない!」

「……博士、たぶんって……」

「白鳥君、研究者に絶対という言葉は禁物なのだよ。どんな定理でも、いつか、覆されるかもしれない。だから、我々もいつなんどき、エロい関係になるか分からないのだよ」

「絶対に! ないです!」

「まあ、そんなに断固否定することはない。ラブコメと言うのは、えてして、そういう展開から始まるものだ」

「これは、ラブコメなんですか!」

「冗談だ、冗談」

「……博士、ホント、冗談に聞こえないんですけど」

「まあ、そんなことはどうでもいい。私が言いたいのは、この研究成果を読んでエロい妄想を満足させようと思っている人がいたら、それは決して満たされることはないから、早く、正道に帰った方がいいということだ――こういうことは、はっきりさせておかないといけない。新聞のテレビ欄を見たまえ、いかにも男の気を引くようなエロい文字を並べる深夜番組があるが、それに釣られて見たはいいが、くそつまんない番組だったことがよくあるだろう、あれは本当に腹が立つ!」

「博士、実感がこもってます……」

「とにかく、そういうものは予め言っておかないとな。後でクレームが来ても困る」

「まあそれは、私にとっても大事なことですのではっきりさせておきたいです」

「実はな白鳥君、もう一つ、言っておきたいことがある」

「今度は、なんですか」

「エロさというのは女性の美醜とは関係ないと、私はさきほど君に言ったね」

「はい」

「だが、男性の容姿とは明らかな相関関係があるのだよ」

「えっ、どういうことですか」

「例えばだ、私がもし中学二年生の妄想好きなチェリーボーイだったとしよう、またはいい年して、彼女もいない、キモオタ親父だったとしよう。そんな人物が君のような若くて、美人で、セクシーな女性に、エロいことを言い立てて君の反応を面白がってるとしよう――そうなるとだね、君! それを想像する男のエロ指数は一気に跳ね上がるんだよ」

「そうなんですか!」

「そうだ、だがここがポイントなのだが、これは男性だけに見られる顕著な傾向で、女性には当てはまらない。逆に女性は、そういうものに生理的な嫌悪を示すことが一般なのだ」

「なんか、分かる気がします」

「そして、さらにここが大事なところなのだが、私たちの研究はぶんちく氏のアカウントを借りて投稿しているのだが、彼の読者は意外に女性が多いのだ。エロで変態野郎の癖にだ!」

「……博士も同じ……」

「ということで、彼女たちのためにも、はっきりさせておきたいのだ。白鳥君、私はどう見える!」

「えっ?」

「私は、じじいか?」

「……いや、見かけは結構若いなと」

「白鳥君、はっきり言いたまえ!」

「は、はい――ええっと、40くらいかと思いますが、もしかすると30代かも」

「まあ、そこはそんなくらいでいい。では、次に私の顔はどうだ、不細工か!」

「ええっと、あの……」

「白鳥君!」

「あっ、はい……意外とイケメンかと……」

「よく、言ってくれた。これで、この研究を見ている読者もはっきりと分かっただろう――おそらく、明日にはフォロワーが激減するよ。だが、それで構わない! 私は私の研究に興味を持ってくれる人が見てくれればそれでいいのだ!」

「あの、今の博士の言葉、結構、かっこよかったです」

「ふふ、白鳥君、どうやら私に惚れてきたようだな。だからラブコメは分からないんだよ」

「やっぱり、ラブコメなんですか!」

(続く)

 

変態おやじ

 

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