娘はアニメーターになりたいそうだ。
僕は、やってみればいいさと答えた。
子どもの頃はたくさん夢があっていい。僕だって、外交官になって世界を旅したり、キャプテン翼のようなサッカー選手になりたかった。
でも実際は、成長するにしたがって、どこかで自分の限界をしったり、別な方向に興味をもったり、外的な影響のためだったりして、その夢は叶うことはなかった。
ところが、今、僕の中には再び夢ができた。
それは、自分の書いた物語を世に出したいという夢だ。
作家を目指すのかと問われればそうではない。こんなことを言うと矛盾するようだが、僕は小説を書くことだけに縛られたくない。自分の性格的に常に新しいことに挑戦してみたいという思いがある。
それに僕は今、それなりの肩書を背負って社会と向き合っているので、そう簡単に仕事を放り投げるわけにはいかない。
だけど、このまま定年まで今の仕事をしたいかと言われると、そうは思っていない。
やっぱり自分がやりたいことをしながら、人生を生きてみたい。
それは当然、リスクがある。でもリスクのない人生なんて、そもそもありえるのだろうか。
だからこそ、僕は娘の夢を全力で応援する。
それは、自分の夢をかなえるための一歩でもある。
人の夢を馬鹿にしたり、できっこないと常に否定的なものいいをする人間がいるが、そういう人間は仕事もそうだが、人間として大成できない。
そう思うんじゃない。そうだと断言できる。
僕はこれまでの人生の中で、いろんな人間とつきあってきて、そういうことを肌感覚として知っているからだ。
娘と一緒に自分の夢をかなえる。
実はこれが僕の最高の夢かもしれないが、僕は、それを夢に終わらせるつもりはない。だから、とにかく一歩を踏み出す。
そうしないと、夢は現実にならない。
それも、僕が生きてきた中で得た大きな教訓の一つだ。
夢を叶えたいんなら、それを叶えるために必要なことをしっかりとやる。
いい小説をかくためにさらに努力する、筆力を上げる。
そういうことの積み重ねの上にしか、目指すものは見えてこないと思うから。