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【小説技法】公募に向かない作品

 僕がこれまで書いてきた物語には様々なジャンルがあるが、これは公募には向かないだろうなと思うものが結構ある。

 分かりやすいのは、宗教を扱う作品は好まれないだろうと思う。
 なぜなら宗教は取り扱いが非常に難しく、信じる人からすれば、いくらフィクションであっても、容認できないなんてことはざらだからだ。

 世界的なベストセラーになった『ダヴィンチコード』も、信じる、信じないで宗教家を巻き込んだ大論争になった。

 僕が今書いている「リバイアサン」というダークファンタジーは、まさに聖書世界を基軸に置いて、まさに神とは何かということを一番大きなテーマにしているが、絶対に公募に向かないだろうなと思っている。

 加えて、100万字を超える大長編になりそうなので、応募できそうな賞もないし、そもそも作家になろうと思っていないので、公募に出す気がないということもあるが。

 

 もう一つは、歴史上の人物やイベント扱う物語だ。
 これは必ず不利になるというわけではないが、やはり、その人のオリジナリティが相当高いレベルで要求されることは明らかだと思う。

 例えば、戦国時代などはこれまで多くの作家が様々な武将を主人公に据えて書いてきているので、それらとは異なる新しい主人公像を示さないと、二番煎じとしかみなされないだろう。

 僕の書いた物語に、源頼光とその家臣たちが大江山の酒呑童子を退治する「異形の国」というものがあるが、これなんかは公募に出せば、使い古されたテーマだということで、それだけで減点対象になるんじゃないかと思う。

 

 また、コメディも難しいと思う。
 個人的には、笑える作品というのはとても価値が高いと思うが、なかなか公募でそうした作品はお目にかからないし、これまでに出版された本でもそういうものは少ないので、厳しい気がする。

 僕も、物凄くくだらない内容のコメディタッチの短編を書いたことがあるが、読んでいただいた方からは好評だったが、それが本になるだろうかと考えると、そりゃないなと自分の方が思ってしまう。

 

bunchiku.com

 

 まあ、つらつら書いてきたが、一番肝心なのは公募というものが何を求めているかということで、それはすなわち、オリジナリティがある新しい作家を求めているということである。

 ということは、手垢のついたテーマじゃなくて、誰も書いたことがないような斬新でフレッシュなテーマこそが公募に向く作品ということになる。

 結局、公募とはそういうものなので、受賞作が物凄く面白いかというと、必ずしもそんなことはないし、受賞したはいいが、一作書いただけで消えていく作家がなんと多いことかと感じる。

 

 ぶっちゃけた話をすると、僕は商業出版の未来はかなり厳しいんじゃないかと思っている。それは、本の販売部数が年々凋落していることからも分かるが、そんなデータよりも、誰であっても暇さえあればスマホをいじっているこの現代の状況を見れば、紙での出版を前提にした公募などは、もはや風前の灯じゃないかとすら感じる。

 最近の出版社の傾向が、無名の新人作家の発掘などよりも、知名度のあるタレントや有名人を使った出版に力を入れているのは経営の観点から言えば当然と思うし、アニメ化、映画化、グッズ販売などのメディアミックスに力を入れているのも、もはや紙の本だけでは食えないという出版社の切羽詰まった事情によるものだと思う。

 ということで、この時代においては無名の人間が作家になるのはますます難しくなっているし、もし新人賞を受賞したとしても、作家を続けていけるかといったら、かなり厳しいいばらの道が待っているんだろうと思う。

 まあ、そうは言っても、作家になりたいと思う人はたくさんいるし、そういう人たちが、必死になって創作活動を頑張ろうとする気持ちもよく分かる。なので、少なくても、無駄な骨折りにならないように、しっかりと対策を講じた上で、公募に向いた作品を書くことが、とても大事なことだと思う。

 

茨の道

 

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